So-net無料ブログ作成

ケーゲルの「ベートーヴェン交響曲全集」 [音楽鑑賞]

遅ればせながら、一部のファンの方々に評価の高いヘルベルト・ケーゲルのベートーヴェン交響曲全集を買いました(米レーザーライト盤)

 まず第9を聴きました。この演奏、よく個性的と評されているようです。たしかに個性的です。朝比奈隆のアプローチ、つまりスコアに全幅の信頼を置いて、すべてのパートを鳴らす、に近い演奏。ただし、ドイツ的明晰というのか、洗練というのか、木管金管の音色にいぶし銀的な美しさがあります。すべての楽章が熱狂から遠い所にあります。個性的という評はとくに第4楽章からくるのでしょう。テンポ設定に唖然とするところがあります。しかし、楷書体の演奏です。

 ケーゲルは爆演系の指揮者だという声をネット上ではよく読みます。しかし、私はこれを爆演とは言いません。

 次に、第7を聴きました。やはり熱狂から遠い透明度の高い演奏です。一方で、フィナーレは飽和的でした。続けて全曲聴かないと解りませんが、ベートーヴェンが確立した「フィナーレ交響曲」の様式を聴き手に気づかせる演奏という基本線がケーゲルにあるのかもしれません。

 「フィナーレ交響曲」というにふさわしいのはエロイカでしょう。ケーゲルの音楽づくりは、テクスチュアが緻密で明確、こまかいアーティキュレーションが丁寧に造形されています。しかも、全体の流れがよい演奏です。第1楽章の最初、2本のトニックが力強く打ちこまれてすぐチェロの朗々とうたう第1主題が出てきます。このとき、和音を刻みながら支えるパートが目立たずによりそっています。旋律を主として、他を従とする機能の弾きわけが、このエロイカを面白いものにしています。ドレスデン・フィルの木管のソノリテを存分に聴かせたいというケーゲルの意図がよく伝わってきます。当然第3楽章トリオのホルン合奏もみごとです。第2楽章の葬送行進曲は遅めのテンポをとった悲痛な音楽に、フィナーレは中庸を得たテンポで変奏曲をわくわくするような性格で仕上げています。奇をてらったところのない、堂々としたフィナーレです。しかし、全曲に渡って細部をいじりすぎたきらい無きにしも非ずで、ケーゲルだからエロイカの巨大なスケールが聴けるかも、と期待すると肩透かしを食います。



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。